『うる星やつら4 ラム・ザ・フォーエバー』(うるせいやつらフォー -)は、高橋留美子原作の漫画及びテレビアニメシリーズの『うる星やつら』の劇場版オリジナル長編アニメーションである。1986年2月22日公開[1] 。
概要[]
本作品は、テレビシリーズ『うる星やつら』放映中では最後に作られた。
レベルの高い作画や美術設定とは裏腹に、本来のラブコメディーから完全にかけ離れ、全体的に重く暗い雰囲気となった作品である。ストーリー構成のモチーフとしては『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』と同じく、現実と非現実の認識論・存在論的な再検討を試みたものとなっている。
こうした問題が発生した原因として、様々な制約から当初の準備稿への変更が重ねられ、結果としてストーリーが分かりづらいものになったのではないかという見方もある[2]。
なお、未使用カットとしては、本編で面堂が祖父と会うシーンがセル画段階で没になっているものがあり、当時のファンクラブ会報にそのシーンのセル画が掲載されていた。
あらすじ[]
あたる達は面堂家に伝わる「鬼姫伝説」をヒントに映画を作っていた。あたるが面堂家の庭に立つ樹齢300年の老木「太郎桜」を老朽化と撮影のために切り倒したことにより、友引町には天変地異が降り注ぐ。太郎桜のあった場所は盛り上がり、山となって頂上に水が入り込み、湖と化した。ラムは体調を崩し超能力を徐々に失い、面堂やしのぶ、メガネ達はラムの存在を忘れかけてしまう。そして、ラムの写っていたはずの写真からまでも、ラムが消えていた。
面堂が原因を探るため、祖父から『鬼姫伝説』の詳細を改めて聞き出し、あたるやメガネと共に太郎桜のあった山へと向かう。頂上の湖の底深くには、白骨化した鬼姫の遺体が沈んでいた。ある日遂にラムは角(超能力)を失い、やがて謎の道化師について行って失踪してしまう。ラムがたどり着いた先は、太郎桜のあったあの山であった。
夢と現実が入り混じった友引町に翻弄される面堂達は、この世界を破壊することで元の世界に帰れると思い立ち、水乃小路家を巻き込んで無為な内戦を始める。それを尻目に、あたるはただひたすら町中を走り始めた。 ラムは太郎桜の木の上に佇む「町(友引町)の記憶」と主張する、巨大な胎児のような者に連れて来られていた。その者は、ラムに「思い出だけでも生きて行ける」と告げた。
内戦は終わり、夜は明けた。走り続けたあたるは遂に倒れる。「元の世界へ帰りたい」と疲れ果てた面堂やしのぶ達が願った、翌日の朝凍り付いた夢は崩れて行った。同時に一同の目の前には、帰還したラムの姿があった。
声の出演[]
※ キャラクターの詳細については、個別項目およびうる星やつらの登場人物を参照。
- ラム:平野文
- 諸星あたる:古川登志夫
- 三宅しのぶ:島津冴子
- 面堂終太郎:神谷明
- テン:杉山佳寿子
- 錯乱坊:永井一郎
- サクラ:鷲尾真知子
- 水乃小路飛麿:島田敏
- 水乃小路飛鳥:島本須美
- メガネ:千葉繁
- パーマ:村山明
- カクガリ:野村信次
- チビ:二又一成
- あたるの父:緒方賢一
- あたるの母:佐久間なつみ
- ラン:小宮和枝
- 温泉先生:池水通洋
- 校長:西村知道
- 面堂の父:天地麦人
※劇場版は本作のみ、ゲストキャラクターは登場しない。
スタッフ[]
- 原作:高橋留美子
- 監督:やまざきかずお
- 脚本:井上敏樹、やまざきかずお
- 演出:吉永尚之
- 作画監督:土器手司
- 美術監督:新井寅雄
- 撮影監督:清水洋一
- 録音監督:斯波重治
- 編集:森田清次、坂本雅紀、田代正美
- 音楽:板倉文
- 音楽監督:近藤由紀夫
- 制作協力:スタジオディーン
- アニメーションプロデューサー:長谷川洋、松下洋子
- 製作:多賀英典
- 企画:落合茂一
- 製作:キティ・フィルム
- 配給:東宝
主題歌[]
- 「メランコリーの軌跡」
- 作詞:銀色夏生/作曲:玉置浩二/編曲:大村雅朗/歌:松永夏代子
映像ソフト化 []
- 本編のDVDは、『犬夜叉 時代を越える想い』の公開を記念し、2001年12月19日発売。
脚注[]
航法[]
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