『勝手なやつら』(かってなやつら)は高橋留美子のデビュー作。「高橋留美子傑作短編集1」に収録されている。週刊少年サンデーにて1978年28号掲載(発売日6月14日)。1978年、第2回小学館新人コミック大賞佳作を受賞。サンデー本誌に掲載されてデビューとなる。これにより高橋留美子の代表作『うる星やつら』の連載へとつながる。
更にうる星やつらのタイトルにも影響している。
あらすじ[]
新聞配達員のケイが、諸事情によって半魚人・宇宙人・地球人にそれぞれ1個ずつ、合計3つ種類の異なる爆弾を体内に埋め込まれてしまう。3つの爆弾のどれか一つでも爆発すると残りの爆弾も誘爆し、複合作用により宇宙が無くなるほどに威力が増大してしまった。
起爆スイッチを押さない限りは爆発しないと安心した直後、地球人科学者が、爆弾をケイの心臓と連動させ、ケイが死んだり体内から出してしまうと爆発してしまうようにしてしまったことを告白。宇宙の存続のため、彼は皆に大事にされる事になる。
主な登場人物[]
- ケイ
- 新聞配達を生きがいとする少年。とにかく新聞配達を一途にこなすマンネリ少年。驚くべき物事にもほとんど動じない。体内に爆弾を3つ仕掛けられるが本人はそれを知らずに、新聞配達を続けていくようだ。なお、「うる星やつら」の『お雪』の回にも後半に雪男間男事件の号外を配る役で登場している。
- 茜
- 一年前から半魚人に捕まってペット扱いされていた少女。ケイに助けられ半魚人の下から共に脱走するが、その際ケイに好意を抱いたもよう。
- 一号・二号
- 地球侵略にやってきた宇宙人。なぜか黒眼鏡をかけている。高度な科学技術力を持ち、爆発すると地球が吹っ飛ぶ威力を持つ超小型爆弾をケイの体内に埋め込んで、地球人を脅そうとする。自身らも半魚人に捕まる。
- 半魚人
- 水のない地上に適応するために宇宙服の様な服を着ている。なぜか黒眼鏡をかけている。高度な科学技術力を持ち、爆発すると地上の空気がなくなる威力を持つ超小型爆弾をケイの体内に埋め込んで、地上人を脅して支配しようとする。なお、「うる星やつら」の初期において度々登場している。
- 松戸先生
- 優秀な科学者であるが、爆弾マニアでもある。宇宙人と半魚人の爆弾に対抗意識を燃やし、心臓が止まると爆発する超小型爆弾をケイの体内に埋め込む。マッドサイエンティスト。
- 防衛庁長官
- 宇宙人やら半魚人やらややこしい連中に辟易し、ケイを犠牲にしてなんとか事態を乗り切ろうと考える。松戸先生に超小型爆弾のケイの体内への埋め込みを依頼する。「うる星やつら」の『絶体絶命』の終盤において諸星夫妻にラム、三宅しのぶ、諸星あたるの三角関係の犠牲になった自衛隊のヘリコプターの弁償を要求している。
当時の先輩漫画家さんの評価[]
※この寸評は勝手なやつら掲載時の欄外に書かれたコメントです。
赤塚 不二夫
- そうとうに、かきなれた絵だ。ふしぎな発想と、ユーモアは評価できる。テンポもいいし、落ちのアイデアも、気がきいている。
楳図 かずお
- のびのびと描いていて、好感がもてる。女性作家とは思えぬ大胆さも買える。主人公の魅力はもう一歩行動に説得力がほしい。
斎藤 次郎
- 話の設定そのものはおもしろいが、登場人物が描きわけられていない。首尾一貫したトーンで、作品をまとめてほしかった。
藤子 不二雄
- スケールの大きな話で、おもしろいと思う。インベーダー、海底人など、とっぴなキャラクターを、もっとうまく描ければいい。
松本 零士
- キャラクターに作者の独創性が感じられた。絵の仕上げは、もっとていねいに。ハラハラさせる工夫や、ドラマの山場を作ろう。